畑ごよみ11-2 2017


マレーシアのビッテとナビラは、皆農塾にインターンシップ(大学生が一定期間企業で働く「職業体験」)で来ている。ナビラはイスラム教徒でヒジャブ姿(スカーフをかぶっている)、ビッテはインド系の容姿でヒンドゥ教徒、3カ月の申し込みだった。21歳の若い娘がいきなりの長期の農体験は無理だろうと、まずはひと月ということでスタートしたが、すでに2か月半が過ぎた。

自己紹介には、二人とも豚肉がダメで、ビッテは牛肉やミルクもだめ、ナビラはハラム(イスラムの戒律に則して調理・製造されたもの)の肉でなければ食べられないのでベジタリアン扱い。ウーファーがこの二人だけならまだいいのだが、ここに肉好きなメキシコ人やカナダ人が混ざるのだから、みんなの胃袋を満足させるのは至難の業だ。しかし、私はいつも怖いもの見たさで、張り切る。なんたって、部屋と食事の提供で若い力を手に入れるのだから。

20代初めの若者の滞在がたまたま重なった。ある日の昼食後、アランが何かを語りだし、それにビッテが「そうそう、私も」と相槌を打ち、カナダ人のライラも何かを語る。アランは20歳のガタイは大きいが幼さが残る若者だ。「初めての外国、初めての体験、自分を励まし、励まして、日本に来た」そんな会話だったようだ。ナビラは空港に降り立った時「わあ~、とうとう日本に来たんだぁ」とジワーときた。未知の世界への憧れと怖れ、背伸びして新しいことに挑戦する、そんな若者の姿がここにある。

 

今年の6月に収穫した玉ねぎは大豊作だった。しかし、湿度が高かったので茶色の皮と白い玉ねぎの間に黒カビが出てしまった。皮をむいてタオルで拭いて、野菜セットに入れる。これは根気のいいナビラの仕事。今、来期の玉ねぎの植え付けをしている。約8千本、これらはビッテとライラの仕事。里芋の穴貯蔵もこの時期、霜が降りる前に終えたい。力持ちのアランの出番だ。決まりの仕事をウーファーに頼んで、研修生の高橋と私は長雨被害の穴埋めに菜っ葉の種を蒔いている。このままでは、正月用の小松菜がない。

  

 

昨日、オーストラリア向けの旅行に力を入れている旅行業の知人から電話が入った。「”やんちゃな若者”の更生のために、ウーフを利用して彼らを海外に送りたいと思って」「家庭裁判所に話に行ったんだが、いきなりオーストラリアはハードルが高いから国内でのウーフはどうかと言われてね」「素晴らしい体験になると思うんだ」彼はウーフの制度にぞっこんだ。商売になるのかと聞くと、「世の中に役に立って、仕事って一層面白くなる」と熱い返事。会社勤務でうつ病になった人たちのリハビリにも農業の場を生かしたいとも。これには、田中も同感だ。

私の方は、いい話だけ今は余裕がない。貯蔵中のサツマイモが寒くないか、エンドウの芽は出たか、他人の心配より野菜の心配が先になってしまいます。(K)